第一回 「8月の家族たち」
監督:ジョン・ウェルズ
主演:メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ
8月の真夏日。父親が失踪したと知らされ、オクラホマにある実家へ集まった三姉妹。真面目すぎて暴走しがちな長女バーバラ、 ひとり地元に残り秘密の恋をしている次女アイビー、自由奔放な三女カレン。彼女を迎えるのは、闘病中だが気が強く、率直で毒舌家の母 バイオレットと、その妹家族。生活も思惑もバラバラな“家族たち”は、つい言わなくてもいい本音をぶつけあい、ありえない“隠しご と”の数々が明るみに。普遍的なテーマをかつてないテンションでダイナミックに描き出す、誰も見たことがない“家族”の物語が、今そ の姿を明らかに!
強烈な運命と磁場によって「心の拠り所となるはずの家」に引き寄せられる家族の葛藤と成長を描いた本作。
実家に家族が集まる中、ジュリア・ロバーツ演じるバーバラが「未来は誰にも分からない…私より先に死なないで」と自分の娘に つぶやきますが、親が子供に求める究極の願望だと思いました。
舞台演劇を元にした本作の最大の見所は老練な役者陣による会話劇。優しくも怒りを内包した叔父を演じたチャールズ役のクリ ス・クーパーや、真面目過ぎて周りと衝突してしまう長女を演じたバーバラ役のジュリア・ロバーツも秀逸でしたが、何と言っても歯に衣 着せぬ発言で家族を罵倒する母親を演じたバイオレット役のメリル・ストリープの役が憑依した怪演に圧倒されました。
バイオレットが劇中、何かに満たされた少女の様な笑顔で草原を走る場面があります。彼女が無意識に安息の地を求めていたと思 わせるその場面ですが、もしかしたらその安らぎの場所とは家族一同が集まる家の食卓なのかもしれません。